カゼルタ――王宮、水道橋、産業を一つの構想にまとめたブルボン家の領地
カゼルタで見るべきなのは、単独の王宮ではありません。ユネスコが評価するのは、18世紀にブルボン家が描いた統合的な計画です。シャルル・ド・ブルボンのためにルイジ・ヴァンヴィテッリが設計し、王宮、庭園、公園、森林、狩猟用の館、カロリーノ水道橋、サン・レウチョの絹生産施設を一つの新都市・行政中心として構想しました。建築、景観、インフラ、社会組織が同じ計画の中で結びついている点が、一般的な王宮遺跡との違いです。
構成の中心にある王宮には四つの中庭と三つのアトリウムがあり、王室用と行政用の双方に使われました。中央軸はポルティコ、噴水、公園を通り、水道橋がつくる滝へと続きます。庭園はヨーロッパの景観伝統とつながり、とりわけイギリス式庭園は重要なピクチャレスク・ガーデンとして位置づけられています。内部空間だけを見て終えるのではなく、領地全体に広がる視線と機能の連続性をたどることで、遺産の設計思想が見えてきます。
カロリーノ水道橋とポンティ・デッラ・ヴァッレの高架橋は、王宮と庭園に水を届けただけでなく、製粉所、製鉄所、製造業にも役立ちました。サン・レウチョには、旧ベルヴェデーレ狩猟館を改造した絹工場と、住宅、学校、医療、各種サービスを備えた計画労働者社区が残ります。科学的修復によって本来の姿は高い水準で保たれていますが、都市開発、来訪者による摩耗、維持管理の必要性は、訪問を考える際に無視できない条件です。
