フローカントリー――生きた泥炭湿原の景観
「フローカントリー」は、この選定中ではスコットランドで最も新しく登録された世界遺産です。2024年、基準(ix)による自然遺産として登録されました。ハイランド地域にある、隣接しながらも区切られた7つの区域からなる連続遺産で、総面積は約19万ヘクタールに及びます。建築物ではなく、降水による水浸しが9000年にわたって続いて形成された、現在も蓄積を続ける広大な毛布状泥炭地の生態系が評価されています。
一見すると何もないように見える開けた土地にも、細かな変化があります。池、盛り上がった部分、細長い尾根、湿地、表面の模様が、気候、高度、地質、地形の相互作用を表します。場所によっては泥炭の厚さが8mを超え、形成が続く泥炭は非常に大きな規模で炭素を蓄えています。29〜34種の泥炭形成性ミズゴケが、低温、酸性、低酸素、栄養分の少ない環境に適応した微生物を支えます。鳥類も、北極・高山性、温帯性、大陸性の種が混在する特徴的な構成です。
ひとつの景勝地を訪れる自然保護区とは違い、価値の中心はつながった水文・生態系にあります。花粉や植物化石は、過去の動植物、古生態、人間の影響を伝えます。大半は自然に近い状態を保ち、影響を受けた区域では再生も進められています。地図上の確認済み拠点はフォーサナードで、案内された場所を歩き、RSPBの情報と天候を確認します。鉄道の玄関口もフォーサナードで、訪問の目安は2〜4時間。ただし7区域はさらに広い地域に広がっています。
