サン・サヴァン――壁面いっぱいに広がるロマネスクの物語
ヌーヴェル=アキテーヌ地方にあるサン・サヴァン修道院付属教会は、11〜12世紀のロマネスク壁画がまとまって残る場所です。1983年に世界遺産へ登録され、文化遺産の基準(i)(iii)が適用されています。評価の対象は、単に古い修道院であることや、壁画があることだけではありません。修道院建築において、絵画による物語表現が果たした重要な役割と、その芸術的な達成が一つの建物に集約されている点にあります。
装飾は建物全体に配置された、主題ごとの大きな聖書物語です。鐘楼玄関と入口のティンパヌムには黙示録が描かれ、身廊の樽形ヴォールトには聖書の場面が続きます。上部のポーチの観覧席にはキリストの受難と殉教の場面、内陣と翼廊の柱には聖人像が現れます。見学では、個別の絵を点として見るより、壁と天井を連続する語りの場として捉えると、この教会の構成が理解しやすくなります。
地下聖堂には、聖サヴァンと聖キプリアヌスの物語が壁面に残ります。壁画は一つの制作時期に描かれた部分だけで420平方メートルに及び、ほぼ80メートルのゴシック様式の尖塔が、後世に加わった垂直の目印となっています。現存する姿は完全に手つかずのものではなく、装飾の一部は修復され、色が変化したり失われたりしています。修道院建築も17世紀に再建されました。

