イタリアのブナ原生林――ヨーロッパ全体に広がる生きた自然史
この地図のイタリア側のピンが示すのは、ヨーロッパブナ(Fagus sylvatica)の進化と現在も続く分布拡大を伝える自然遺産です。イタリア国内に連続する一つの国立公園や記念物ではありません。18か国が共有し、93の構成部分から成る国境を越えた連続遺産です。したがって、ピンは国際的な資産全体ではなく、イタリア側を探るための代表地点として理解してください。
ユネスコが重視するのは、比較的手つかずの温帯林に残る生態系のプロセスです。ブナは南ヨーロッパの避難地域で氷期を生き延び、最後の氷期が終わると、自然の回廊や飛び石状の生育地を通って広がりました。連続遺産全体では、海岸部から森林限界まで、気候、地質、地理、物理条件の異なる環境に純林や混交林が成立しています。設計された形ではなく、森林の発達、環境の勾配、遺伝的適応が価値の中心である点は、イタリアの文化遺産とは根本的に異なります。
注目したいのは、樹齢を重ねた木々と、老齢林の環境に依存する関連生物です。各構成部分は、それぞれの土地で自然な森林プロセスを示し、シリーズ全体ではヨーロッパブナの生態系の多様性を表現します。一方で、伐採、生息地の分断、気候変動による生息環境や種構成の変化が脅威とされています。イタリアのピンを国際遺産全体と取り違えたり、すべての構成部分が同じ訪問環境を備えていると考えたりしないことが大切です。
