パドヴァ植物園――科学の営みを空間として設計した庭園
パドヴァの植物園は、歴史的な庭園であると同時に、当初の目的を現在も保つ科学機関です。1545年に創設され、世界で最初の大学植物園であり、現存する同種の施設として最古の例とされています。ユネスコが評価するのは、イタリアとヨーロッパ各地の植物園に与えた影響だけではありません。植物、考え方、知識の交換を示す場所であることも重要です。建築や庭園設計の遺産というより、科学と教育の遺産として読むことができます。
その性格は平面構成に表れています。中央の円形区画は世界を象徴し、その周囲を海を表す水の輪が囲みます。円の中にある大きな銘入りの正方形は、東西南北に合わせた道によって四つに分けられています。装飾的な入口、欄干、揚水設備、温室などは後から加えられましたが、最初の構成を消してはいません。劇的な景観演出を重視するカゼルタや、考古学遺産に付随する耕作地とは異なり、パドヴァでは幾何学そのものが科学的秩序を語ります。
構造と収集物の関係にも注目できます。6,000種を超える植物が、系統的、実用的、生態・環境的、テーマ別の基準で配置されています。さらに5万冊を超える図書・写本を収める図書館と、イタリアで2番目に大規模とされる標本室があります。植物学、医学、生態学、薬学への貢献を重ねながら、研究、教育、科学普及を続けていることが、1545年の本来の機能を現在につないでいます。後世の修復も当初の特徴と素材を尊重し、構造面・機能面の連続性は高く保たれています。
