ヴァルカモニカに刻まれた8000年の図像
ヴァルカモニカの岩絵は、山間の景観そのものが先史時代の表現を大規模に保存している遺産です。ロンバルディア州の谷の両側、180以上の地点にわたり、14万を超える記号と人物・動物像が岩面に刻まれています。ユネスコは1979年、六つの構成資産からなる連続文化遺産として登録しました。一時代の記念碑や単独の芸術計画ではなく、8000年以上にわたる人間の活動を追えることが価値の中心です。
農耕、鹿猟、決闘、航海、戦争、呪術などが、幾何学的・象徴的な図形とともに表現されています。建物、墓、道具を主な資料とする先史遺跡とは異なり、ここでは岩に残された図像が社会の変化を考える手がかりになります。体系的な解釈、型式分類、年代研究によって、先史学だけでなく社会学、民族学にとっても重要な資料となっています。岩面の形状、図像、素材は高い真正性を保ち、画像の視認性もおおむね良好ですが、大気や気候、森林、汚染、人の直接的な接触はなお影響要因です。
この遺産は一つの囲われた考古学公園ではなく、保護された複数の場所から成るネットワークです。岩絵公園に加え、国・州・自治体による保護が、監視、修復、来訪者向け施設を支えています。管理は地方自治体や研究機関とも連携して行われます。どの構成資産を訪ねるかによって、見られる図像と現在の見せ方は変わります。地図は遺産全体への入口として使い、現地では刻まれた岩面、谷の地形、長い人間活動の時間軸を一緒に観察すると、その広がりが理解しやすくなります。
