ニームのメゾン・カレ――帝政ローマを映す神殿
ニームのメゾン・カレは、この地図のなかでも最も輪郭のはっきりした建築遺産です。現在のニーム、古代のネマウススのフォルムに建つ、紀元1世紀のローマ神殿で、2023年に文化遺産として基準(iv)で登録されました。価値は、ローマ時代の建物であることや保存状態の良さだけにありません。皇帝崇拝と、共和政から帝政へ移行する政治状況に結び付いた、属州における初期の実例である点が重要です。
献堂の相手は、アウグストゥスの若くして亡くなった後継者、青年皇子として知られるガイウス・カエサルとルキウス・カエサルでした。コリント式の意匠、洗練された装飾、フォルムにおける位置は、ネマウススにおけるローマの権威を表し、アウグストゥス家への忠誠を示す政治的・王朝的役割を建物に与えました。単に古代の部材が残るだけの遺跡とは異なり、建築形式、立地、帝国の理念が結び付いています。
ただし、残存状況には区別が必要です。構造や装飾の一部は原物、または慎重に修復されたものですが、ケッラには原要素が残っていません。屋根とプロナオスの天井は、その他の原初的な構造要素とは別に例外として挙げられます。古代のフォルム周辺はニームの発展によって変化し、現在のメゾン・カレ広場もその文脈を部分的に想起させるよう設計されました。法的に保護され、自治体と地域機関の協力で管理される建物であり、手つかずの考古学的複合体と同一視することはできません。

